こんにちは
成瀬印刷さんでブログを書かせていただくのは2回目になります。
日曜日担当のストーリーライターの清水美紀です。
好きなことを書いてくれていいという成瀬社長のお言葉に甘え、
この一週間、何を書こうか考えていました(笑)
印刷物で私がお世話になっているもの…と言えば、一番は書籍です。
(あ、成瀬印刷さんでは通常書籍は印刷していませんよ)
古い人間なのか、紙媒体でないと頭に入って来ず…。
読書が趣味なものですから、こんなにテクノロジーが進んだ世界なのに、相変わらず我が家は紙(本)で溢れています。
ですが私の周りの愛読家たちもそのようで、紙で読んでいる人が多いです。
紙の魅力って、思っている以上にありそうです。
さて、読書が趣味と話をすると必ず聞かれること質問のひとつが
『最近読んで面白かった本は何?』です。
ここ最近の一番は…芸人・オードリー若林正恭さんの新刊『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』です。
彼にとって2冊目の本作。今回はとっても哀愁が漂う(悪い言い方をすると少しまどろっこしい…題名からしてそうですね)一冊で、文章の綴り方が前作と少し変わったなと思いながら読んでいました。
内容は、『社会主義国』を見てみたいという思いから、一人でキューバに行った時のことをエッセイで紹介しています。
ずっと『日本の社会』に対してこじらせてきた彼。自分の固定概念が『資本主義』しか知らないからではないだろうかと考え、自分が知らない社会である『社会主義国』を体感しに行きます。
社会を独自の視点で見つめてきた彼が、今までとは違う社会に触れて、感じたことを素直に書いている本作。改めて今いる『資本主義』が生きていく上での選択肢の一つでしかないことを実感させてくれます。
私たちが信じ込んでいる当たり前は、私たちの社会でしか通用しないのです。
しかし、全員平等をうたっているはずの『社会主義』にも当然歪みがあり…。
アメリカとの国交が回復し、これから大きな変革の波が訪れようとしているキューバ。
クラシックカーが走り、看板が無い国の風景は『今』だけのようです。
変わろうとしている微妙な匙加減のキューバを、若林さん独自のユーモアな視点で語ってくれています。
ここまでなら、そこまでお薦めの一冊ではないのですが、
後半、突然調子が変わる章が出てきます。
そこから、
なぜ、今回の旅先がキューバなのか
なぜ、冒頭からの哀愁漂う雰囲気を私が感じたのか
なぜ、一人旅なのか
特段、気に留めず読み進めていた部分の理由がするすると解明していきます。
その仕掛けは読書家の彼ならでは。
思わず唸ってしまいました。
『社会主義国』について書かれただけの本なら、人には薦めません。
ですが、最後の謎解きが書いてあった章で不覚にも泣いてしまいました…。
彼がキューバ行きを決めた真の理由とは?
この本が気になっていた方はもちろん、
若林さんに興味がない方も
社会制度や生きづらさに関して興味がない方も
全ての人に読んでいただきたい一冊です。
読書の秋を楽しむ時の候補に入れてみてください。